経営者の立場に立っていると、どうしても社員が何を考えているのかわからなくなってしまうことも少なくありません。経営者としてリーダーシップを発揮し、組織を運営していくためには、そのチームのメンバーが何を思っているのか、考えているのかをしっかりと知る必要があります。しかし、同じ組織の中にいても立場が変わると視点もまったく変わってしまうものです。結果として、組織を構成するメンバー、社員の求めているものが分からず、うまく運営することができないケースも少なくないのです。
今回は具体的な社長をご紹介するのではなく、社員視点で考えることの重要性や具体的な方法などについてもご紹介していきます。
立場が変わるとどうして社員視点を持つことができなくなるのか
実際に組織のメンバー、社員として働いた経験があっても起業して経営者という立場になるとどうしても視点は変わってしまうものです。しかし、よく考えてみると同じ組織内で働いているのであれば、相手がある程度わかりそうなものです。それなのに、社員視点でどのように見えているのかがわからず、組織がダメになってしまうというケースも少なくありません。
そこで、ここでは立場が変わるとどうして社員視点を持つことができなくなってしまうのかという点について考えていきましょう。
経営者という立場に集中する必要がある
一旦経営者という立場になってしまうと、その立場でこなさなければならないことに集中しなければならなくなってしまうという点が挙げられます。
経営者になってもいつまでもサラリーマンと同じ視点でものごとを考えていては組織をうまく運営することはできません。なので、当然のことではあるのですが、一度経営者という立場に集中してしまうと雇われている側、社員としての視点や考え方を持ちにくくなってしまうのです。
そこには経営者としての意識をしっかり持たなければならないという意識も関係しているのかもしれません。また、逆に経営者である以上は社員と同じ考え方ではダメだと思ってしまうのかもしれません。
このように、経営者という立場に集中することからどうしても他の視点を持ちにくくなってしまうという点が考えられます。
社員の考え方は組織によって異なるため
社員、組織を構成するメンバーはとても多いものです。組織を構成するメンバーがみんな同じ考えを持っているわけではありません。それだけに、理解することが難しくなってしまうのです。
また、組織によっても考え方の傾向は異なっているという点も社員視点で考えることを難しくしています。例えば、長い歴史を持つ大企業とできたばかりのベンチャー起業では社員の考え方や士気などにも差があります。もちろん、業種によっても違いがあります。
このように、社員の考え方はそれぞれ異なっていることからますます社員視点を持つことが難しくなってしまうのです。
社員視点を見てみぬふりしてしまいがち
経営者として考えていると、社員視点が例え見えたとしてもそれを見て見ぬふりをしてしまうというケースも少なくありません。
もちろん、社員視点を持つことによって経営に役立つこともあります。しかし社員の考え、視点によっては経営においてジャマになると判断せざるを得ないケースもあるのです。
結果として、社員の視点、考え方と経営者の考え方はまったくの別物であると切り分けて、見て見ぬふりをしてしまいがちなのです。
社員の素直な声を聞くことができない
組織によっては、社員視点をしっかりと持つために、声を聞くための機会を作っているというケースもあります。
一見、こうすれば簡単に社員視点を持つことができると考えられがちです。しかし、経営者の立場で社員の声を聞こうとしても素直な声を聞くことができないというケースも少なくありません。
社員はどうしても経営サイドに対して気を遣ってしまうものです。経営者側がどんなに心を開いてもらおうとしてもやはり立場が違うので正直な気持ちを伝えることは難しいのです。結果として、経営者サイドが求めている声、意見などを探って回答してしまい、本当の社員目線での声を聞くことができないのです。
このように、素直なものではない社員の意見に惑わされてしまうことによって、本来経営者が求めている社員視点が見えなくなってしまうというケースもあります。
社員視点を経営に活かすためにポイント
社員視点を持って経営に活かすためにはいくつかのポイントがあります。ここでは、より具体的に社員視点をもった経営のこつを詳しくご紹介します。
社員視点の中から必要なものを見つけ出す
社員視点を持つこと自体はそれほど難しくはありません。時々現場に立ってみたり、態度などのこと注意深く観察してみるとある程度の推測はできます。
しかし、単に情報を集めるだけでは意味がありません。その中から経営に必要なものだけをピックアップすることが重要となるのです。
社員の希望を知ることは大切ですが、そのすべてを実現できるとは限りません。しかし、完全に無視していると不満がたまってしまうだけです。そこで、その中からより効率的に社員のモチベーションアップに繋がるものを選び出すことによって経営に活かすことができるでしょう。
現場での仕事を自分の目で見る
経営者の立場になると、仕事をデータとしてしか確認することがないという方も多いでしょう。しかし、これでは社員視点を持つことはできません。そこで、現場での実務を自分の目でもしっかりと見ることが大切です。
これだけでも、社員視点をかなり持ちやすくなります。もちろん、あまりに現場に顔を出しすぎてしまうと社員サイドが萎縮してしまい、仕事がしにくくなってしまうケースもあります。そのため、適度に機会を作って現場を見るようにしましょう。
社員視点を持って経営に活かしていこう
経営者サイドの視点のみでなく、社員側の視点もしっかりと持つことによって、経営に必要なさまざまなヒントが得られることがあります。もちろん、社員視点のことばかり考えていては経営はできません。そこで、社員視点の中から必要なものをピックアップすることが大切です。